2010年11月25日木曜日

名目では構造改革期に世界シェアを半減させた日本経済

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  修正:グラフだけでなく、少し説明を追加しました25.1.9
関連項目:重不況の経済学 公共事業

1 世界経済に占める(ドル表示で見た)日本の名目GDPの比率は、1997年〜
 2007年の10年間に次のように半減しました。

注1)ドルベースの名目値で比較
注2)1997と2007の為替レート(円ドル)はほぼ同水準

2 原因は、次のように、この10年間にG7の他の各国が経済規模を53%から
 103%拡大させたのに対して、日本は、わずかに1%しか拡大しなかった点に
 あります。・・・これは、一人当たりなので、厳密な経済規模拡大の差はさらに大きいことになります。


3 これは、OECD諸国中の人口一人当たりGDPの日本の順位が小泉構造
 改革期間中に次のようにコンスタントに低下したことに対応しています。
(補足)
円安 なお、小泉構造改革期間中は、円安が進行していましたので(これら
 は比較のためドル表示ですから)この影響もあるわけです。たしかに円高
 が進んだ近年は順位が上昇しています(もっとも、理由は円高だけではないです)
  しかし、上昇も限定的です。その理由は、中段のグラフに見るように、
 日だけが名目GDP成長をまったくしていない点にあります。たしかに
 日本は、この期間に(相対的には)縮んだのです。

物価 もちろん、物価上昇が小さいかマイナスだった点もあります(これら
 のグラフは名目値での比較だからです)。しかし、低い物価上昇率は本来
 であれば、日本の国際競争力の強化に寄与し、日本経済の力強い成長に結
 びつき、高い実質成長が実現したはずですが、まったくそうはなっていま
 せん。・・・いまだにアップアップしてるわけですから。
  物価上昇率が低いかマイナスだったことは、何の意味もなかったし、む
 しろマイナスだったと言えるでしょう。

生産性 一人当たりGDPとは、投入産出の構造から言えば、広い意味で一
 国の「生産性」を意味します。構造改革期間中、企業の人員削減で、生き
 残った企業内の生産性は上昇したかもしれませんが、企業から吐き出され
 た失業者や遊休化した資源の増加によって、日本の国全体の生産性は低下
 しのです。

※2010年11月刊『「重不況」の経済学』(新評論)http://amzn.to/htYtN1 の導入部《第1章》のための図の一部